2007年12月08日

『伏竜伝―始皇帝の封印』 UP

瀬川由利の『伏竜伝―始皇帝の封印』読書メモをアップしました。

たいへん古い作品ですが、色々な面から中国物としては気に入っている作品でございます。
久々に読み返してみたので、文章リハビリもかねて書いてみました。

再読したキッカケとしては、アニメ化され話題となった「精霊の守り人」の主人公格が三十路の女用心棒であったり、シリーズ開始より楽しんでいる麻木未穂の黄金の魔女が棲む森シリーズも三十路女の厚顔不遜(傲岸までは行かない)っぷりが満載だったり。年増ヒロインに優しい時代になったもんだなやと感じ入り、他にもなんかあったかなと記憶を探った故です。
まあ、『伏竜伝』は出版社が出版社なので、登場人物の年齢設定が高いのは必定なんですけど、それにしては意外なヒロインですよね。

再春館製薬に無料サンプルを断られない私としても、三十路が主役をはるライトノベル・ジュブナイルはなんとなく落ち着くところがあります。

年増ヒロインのことは本文に譲るとして、中国史における馬の存在感もまた気になるところ。
古代中国史において、秦と趙とは伝承によれば祖を同じくし、牧馬の能で周王朝に重んじられる存在であったとされています。
馬の文化は夷狄と言われた方面から流入している向きがあり、趙の武霊王による「胡服騎射」は先祖返りのような趣の改革でもあったかと思ったりします。また、秦も中原諸国から見ると、夷狄の扱いを受けることもしばしばありました。
秦と趙がどこに由来する民族であったかを思うのは面白いですが、彼らが連れていた(連れてきた)馬がどこのものか?というのを考えるのもなかなか興味深いものです。

秦と馬の関わりは何かエピソードがあるわけではないですけど、当時の馬の姿を活写した俑をおさめた始皇帝陵の存在感は大きいですね。
秦王政の時代を描く原泰久「キングダム」でも、枝葉ながら馬が印象的に登場しています。
第24話「騎兵の夢」(三巻に収録)では、信と漂の子供時代のあこがれの一つとして「馬に乗ること」が武霊王の逸話とともに、回想として挿入されています。
この時、信は政と共に山の王の支援を受けて咸陽へ向かい、生まれて初めて騎乗するわけです。そして、援軍である山の民たちも普通に騎乗していて、「おいおい、その馬は一体どこのでどんな馬術だよ!」とか、移動手段としての馬術と騎兵の法というのも段階が違う技術でということかしらとか思ったり。

馬育や馬種について纏めた書籍など読みたいのですが、どうしても西洋史の範疇かサラブレッド以降の話のものばかりのようです。
アジア史に限ると、騎馬民族関係かモンゴルになっちゃうもんねえ。

多久 弘一
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謝成侠『中国養馬史』(1977年)は少々気になる書籍ですが、手が出ないですね……。

『故事 馬百話』は希望とは違う切り口ですが、馬にまつわる中国のエピソードを押さえておくには絶好かと思うので、覚えておきたい。


キャロライン デイヴィス
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世界史全体での馬ににまつわる図説は、何冊かあります。
『図説 馬と人の歴史全書』は最寄り図書館の蔵書でしたので、近々チェックするつもり。

馬俑や画像磚などに描かれた馬ばかりあつめた図録とかあればなあと思うんですけど。


以下、馬にまつわるいろいろをザッピング。

福島県立博物館の企画展(終了)「馬と人との年代記-大陸から日本、そして福島へ-」
http://www.general-museum.fks.ed.jp/kikakuten/180422_uma/kt_180422.html
うつくしまふくしまでこんなものをやっていたのか! ちなみに、あてくしの田舎はかなり馬好きな感じの祭りがあるところです。


日本ウマ科学会

http://www.equinst.go.jp/JSES/index.html

刊行物の『hippophile』No.18掲載の片山寛明 「古代中国の馬俑と汗血馬」が面白そう。
片山寛明氏はこういう方なので。
MIHO MUSEUMでも、まだくだんの展覧会図録の在庫ありそうだなあ。


大草原に生きた馬たち:モンゴル馬と汗血馬 (ディジタル・シルクロード

http://dsr.nii.ac.jp/rarebook/02/

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comments

冰児 様、

 こんばんは、ぶなと申します。
 「馬」ですが。「移動手段としての馬術と騎兵の法というのも段階が違う技術」、確かに「乗馬」と「騎馬」は相当に違いそうです。また「騎馬」が盛んになるには道具の発展(発明)も必要かと。例えば「鐙」が現れたのは何時頃か?によっても騎馬の始まりが定まるかも知れません。中国では、鐙は4世紀頃から確認できる(by「中国古代の生活史」)ので、とすると三国時代における騎馬戦は、もしあったとしても大掛かりではなさそうです。
 しかしAmazonの古書コーナーはべらぼうな値段だ。本当かしら。
 先だって「酒見賢一とヒューリックの関係」などと吹いてしまいました、お聞き流し下さい。「平井和正とE.クイーンをよく読んだ(影響を受けた?)」との酒見氏の記事発見、クイーンはミステリー作家だが、平井和正? 私の憶測は本当に憶測の域を出ませんです。翻訳者O氏がミッシングリングか?って程度です。
 乱筆乱文失礼いたしました。それでは。

  • ぶな
  • 2007年12月10日 23:20
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