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2005年09月07日

「巨船ベラス・レトラス」第一回 筒井康隆

文藝春秋の「文學界」2005年2月号より連載されている、筒井康隆の「巨船ベラス・レトラス」が面白いと言う家人の声を聞きまして、図書館がとっていた筈だと早速借りて参りました。

一回目を読んだだけでは「巨船ベラス・レトラス」がなにやら全く見当も付かない。
しかし、これが皮肉屋な我が家の人員の琴線に触れる、続きが気になる小説だという事は分かりました。
つまり、ぶっちゃけて言えば、興味をひかれた前評判通りツツイさんの代表作のひとつ「大いなる助走」の続編的作品なわけなのですよ。主人公とかに共通するものは(今のところ)ありません。扱うテーマが文壇とそこに在する作家陣、そしてその文壇とやらの外にいる同人誌作家やそれを繋ぐ文学賞といったものになるようですね。「文壇を震撼させた『大いなる助走』の21世紀版が、爆発とともに始まる」というのが連載開始時の文句です。
「大いなる助走」と同じく、直木賞や芥川賞の選考にも深く関わる文藝春秋でやるってのが相変わらずのツツイ節でしょうか。担当の編集者さんも全く度胸があるというか、腐っても鯛と思うものであります。

「大いなる助走」の主人公は、地方の文芸同人誌の活動から文学賞受賞者になったという設定でした。今度の「巨船ベラス・レトラス」は、どうやら三人の商業誌デビュー済み作家を中心に話が進むようです。その中でも冒頭から人称を独占しているのが、笹川卯三郎という27歳で新人賞受賞して派手に騒がれたデビュー六年目の作家。彼も講演者に名を連ねた文学会で、プロの作家や文壇を憎悪している同人誌青年が爆発事件を起こすというのが始まりです。で、その友人である伊川谷幻麝というホラー作家も続いて登場します。
そして、場面がかわって出てくるのが彼らより二回り年上の作家・錣山兼光(大阪在住)。
この三名、どうやら町田康と京極夏彦、そして筒井さんがモデルらしいとの噂です。
もちろん、そのまんまではなく再構築された人物像になってますけど、それぞれをイメージしながら読むと掴みやすいんじゃないでしょか。
まだ始まったばかりで何とも言えんのではありますが、続きがみたいのは確かですね。


ところで爆発事件首謀者が、「ひたすら売れる作品を求めて二十歳にもならぬ娘に文学賞を与えて売り出したりする文壇や出版社の傾向を嫌悪していた」という部分がありまして、ほくそ笑んでしまいました。ほほほ。

投稿者: 冰児